「目の前で調理」を強調する

固定店舗に留まらず、多様化を極める飲食店業界において、キッチンカーならではの“個性”を示すとすれば、「料理の調理と過熱を“出張現場”で施せること」が筆頭となるでしょう。カラフルな塗装やラッピングを施した“ちょっぴり変わったクルマ”の中で行われる調理パフォーマンスから醸し出される特別感は、日常を非日常に彩る“食のエンタテイメント”として、群衆の目を引き付けます。このメリットを最大限に活かし、“その気がなかった”人の購買意欲をも高確率でそそる、オンリーワンのお店を目指しましょう!

現場では目を引く仕上げの工程だけを

調理工程のすべてをキッチンカーでまかなうことは、料理系では特に難しいので、実際の工程の多くは別途設けた拠点の厨房キッチンで事前に行います。基本的にはスペースが広く、設備面が上回り、集中して調理できる厨房キッチンでの作業の方が効率がよいので、キッチンカー出店当日に行う調理作業については、仕上げ工程の中から1つ~2つを残しておく程度がベストです。例えば、肉料理メインのお弁当を販売するとしたら、事前に肉以外の調理が盛り付けまで済んでいるものを現場に持ち込んでおき、肉の最終焼き上げとソースをかけるなどの目を引くパフォーマンスだけを断続的に行うことで、出来立て感を強調するスタイルをとります。これなら、見栄えが良い上に提供スピードも速くなるので、手狭なキッチンカーで打ち出せるメリットを最大限に活かしながら、満足度の高いサービスを提供できるのです。

セミオーダースタイルで特別感を強化

調理の最終工程をキッチンカーで行うスタイルなら、その場でお客様の要望(好み)に沿って仕上がりを変化させることも可能となります。例えば素材の焼き加減であったり、スパイスの調整であったり、ソースが選べたり、量そのものの増減ができたりなど、有料無料問わず、お客様のプチわがままに応えて仕上げることで、「私のために作ってくれた」という特別感が増し、スーパーやコンビニの“コスパ”をも凌駕する有力な選択肢に躍り出るのです。提供メニューが決まっていない段階であれば、「多様なセミオーダーに簡単に応えられる」ものをピックアップするのも良いでしょう。