地域とのコミュニケーションが鍵

フットワークが軽く、事前の申請や許可さえ経ていれば「いつでも」「どこでも」オープンできるのがキッチンカーの強みですが、天候や場所による(経営上の)不安定な要素も多いため、“あてになる”収益構造の確保は必須となります。その一つの手段が「いち地域に定着すること」であり、売り手(キッチンカー)側には、買い手(近隣住民)側に認知される環境を作り、飽きられない状況をキープする工夫が求められます。そこで求められるのが、商品力はもちろんながら、オーナーや店員のコミュニケーション力となるのです。

一度接触した顔を忘れない

週末イベントなどへの単発出店については、盛大な「非日常」感の演出が勝敗を分けるキッチンカーですが、平日のレギュラー出店を行う場合は、適度な特別感を「日常」に定着させていく必要があります。お客様は、日常から親しみのある場所に定期的に出現する「いつもはいない」お店を気にかけるようになり、固定店舗とはまた異なる「また来るんだよね?」という期待感を込めた親しみを覚えてしまうものです。なので、その絶妙な距離が縮まれば、リピーターとなってくれる可能性もグンと高くなるのです。いち通行人から一歩踏み込み、お客様となってくれる地域の人には、より親しみやすい印象を提供する必要があります。そのためには、笑顔でテンポよく接客する第一印象の良さもさることながら、2度目の接触以降に「しっかり顔を思えている」態度を示すことがより大事なのです。

特別な関係を態度と行動で示す

利用した(している)お店から、自身が「常連客」と認識されている状態は、誰でも心地よく、お店に対してもより特別な思い入れを抱いてしまうものです。そこに「ならでは」の優遇が加われば、その親しみは無条件に深まっていくことでしょう。売り手(キッチンカー)側の基本的な行動としては、「“いつも”ありがとうございます」の第一声から。前回の来店時のやりとりを覚えていた場合は、その記憶を軸に会話を増やしたり、また違う切り口で「今日のおススメ」を提案してみたりするとさらに深いニーズが引き出せます。商品の引き渡し時には、リピートの感謝を込めて、「今日は○○をサービスしておきますね!」と特典的なものを物理的に添えられれば、周囲にも自慢したくなるようなお店として、印象付けられること間違いなしです。