キッチンカーには、ちょうどいい新しさが求められている

キッチンカーの出店時間はごく限られています。イベントなどを転々とする場合は、1日勝負で、確かな売り上げをあげないと成り立ちません。なので、マニアック“すぎる”メニューを扱うキッチンカーは、いちから認知や理解を得る時間が必要となるため、苦戦を強いられるとされています。では、定番中の定番を堅実に販売すればいいのか、といえば違っていて、イベントといういつもと違う空気感の中で、いつでも食べられるメニューをわざわざ選ぶ必要性はないわけです。コンビニも含めた飽和状態の激戦区に埋もれに行くようなものですから。なので、ちょうどいいオリジナリティで差別化を図った程度の定番メニューを提供するのが理想で、勝ち組となるオーナーはその匙加減のセンスが秀でているのです。

せっかくだから、がイベントで購入する決め手

たとえばカレー。これはもはや「みんな大好き!」と公言できる日本の国民食であり家庭の味ですよね。そして、本場インドやパキスタンの料理人が創る料理のひとつとして、お店の雰囲気も含めて味わい尽くす外食での楽しみ方もすっかり定着しています。そこに割って入るキッチンカーオーナーができる最善策は、「カレーが好き」という軸を外さず、レアな体験を提供することです。例えば、日本ではまだ馴染みの少ない意外な国のカレー料理を看板に掲げれば、「そんなカレーがあるんだ。カレーは好きだけど、ちょっと違うのかな?」とお客様から想像を膨らませ、漂う香りから「まあ、カレーだから美味しいよね。せっかくだから食べてみよう!」というスムーズな流れが組み上がります。この「せっかくだから」を後押しするのが、「定番がベース」という安心感なのです。

ひねりすぎず、ひとひねりで勝負

「はじめまして」のお客様を惹きつけるメニューを作るには、食堂やレストランで「一番人気!」と書かれるような定番にどうひねりを加えるかがポイントです。肉料理ならボリューム感や仕上げにちょっとしたクセをつけ、オムライスならフワトロを極めたりソースの選択肢に斬新なものを加え、丼ものなら意外な定番おかずがドンと乗せ…盛り付けも含めた「ひとひねり」が、安心感を損なわない、必要十分なインパクトとなるんです。想像の範囲をしっかり超え、口コミで広げてもらえるような看板メニューを、ひねりすぎないように注意しながら、ほどよい遊び心で突き詰めていきましょう。