「美味しくない」は、キッチンカーではより致命的

キッチンカーには、クルマの見た目のカラフルさで「楽しそう」、目の前で調理する匂いや音で「美味しそう」と、「はじめまして」な人を惹きつける強いチカラがあります。しかし、実際に美味しくなければ、お客様に楽しい思いをさせることなどできず、むしろ期待を裏切られてしまったガッカリ感が強烈な印象となり、“二度と行かない店”にリストアップされてしまいます。適切な例えとは言えませんが思い出してみてください。店主の愛想が悪くても、お店が古くて汚くても、美味しいお店はしっかり繁盛してますよね?ですが、その逆はありえないのです。

見えない質を高め、しっかり見せる

基本的なことですが、美味しい料理を作るには、材料からこだわらないといけません。キッチンカーはエンターテイメント性が目を引きますが、あくまでも飲食店の手段の一つなので、力を入れるべきは目に見えない料理の“質”なんです。近年の健康食ブームで、食品表示にまでしっかり目を通す習慣ができた現代人の舌は、一般ユーザーレベルまでしっかりと肥えています。風味までキャッチできる舌には、ごまかしがききません。なので、当然のたしなみとして、産地からこだわり、むしろアピールできるほどの新鮮な材料を取り入れながら、味だけでもお客様を惹きつけられるレベルまで持っていきましょう。また、キッチンカーで扱うメニューは、ごはんものや麺類など、炭水化物ベースに偏りがちなのですが、(上質な)肉類や野菜類のバランスで健康面への配慮をアピールできれば、女子はもちろん、子を持つ親も安心して購入するきっかけになります。クルマの見た目のカラフルさや、目の前で調理するダイレクト感は“安心な美味”があってはじめて相乗効果を生む+αなのです。

一度与えた「美味しい」は、油断なくキープを

せっかくリピーターも獲得できた美味しいメニューは、労力を惜しまず、そのクオリティを維持し続けなければいけません。しかし実際は、同じ作業の繰り返しであることから、1年ぐらいで集中力が切れ、結果として自覚、無自覚問わず微妙な手抜きが生じるお店も出てしまいます。リピーターには「はじめまして」と同じ感動を、新規のお客様にはそのリピーターが感じた「はじめまして」の感動と同じ感動を、むしろそれ以上を提供し続けることが、生き残り、大きくなるお店への分岐点であることを自覚しておきましょう。