主戦場を避けるという差別化

ここ数年、飲食業界の中では伸び盛りのキッチンカー市場。特に主戦場となるランチタイム(お弁当屋さん)は飽和状態まではいかないまでも、新旧人気店が入り乱れる群雄割拠の状況です。その中で一歩リードするには、メニューなどで一定のニーズに寄り添う“差別化”を模索していく必要がありますが、時間帯そのものをずらすことで、新たな活躍の場を作るという選択肢が注目を集めています。その活躍の場が、「朝食」と「夜食」の時間帯なのです。

時間帯も、提供メニューもピンポイントで

ます、「朝食」の営業時間の目安は6時台から9時台まで、まさに喫茶店のモーニングサービスのタイミングです。コーヒーとサンドイッチ、おにぎりと味噌汁、女性向けにサラダやフルーツなど、“朝の定番”が通勤通学者にはウケるでしょう。そして、「夜食」の場合は、日が暮れた19時前後から終電が過ぎてひと段落ほどの深夜2時前後までの時間帯に。ラーメンやそばなどの麺類、おでんで晩酌は古くからの屋台文化で定着していますが、近年は残業からの帰宅中に歩きながら食べられるホットドッグやケバブなど選択肢が広がっており、ニーズが高まっていることがわかります。夜の時間帯は「お酒と一緒に」という需要があるため、一人当たりの単価が高くなり、お昼のような行列店とならずとも収益が見込めるのも特徴です。保健所の飲食店営業許可があれば、アルコール類の提供はでき、キッチンカーの中でなら、カクテルを混ぜることもできるので、夜空の下という特別なシチュエーションを活かし、カジュアルなバーをオープンすれば、一層通行人の目を引く差別化が図れるのかもしれません。

朝、そして夜の「顔」になるコミュ力が大事

朝や夜にオープンするキッチンカーは、朝早くから、もしくは夜遅くまで“営業しない”商店の駐車場を借りられれば、好立地かつ広いスペースでの営業を行えるというメリットが生まれます。また、朝は「行ってらっしゃい」、夜は「お帰りなさい」の空気感がプラスになるので、接客が重要なポイント。夜の時間帯は、お酒を飲みながらゆっくりという使い方も増えてくるので、万が一の(お客様同士の)トラブルの仲裁役になれるような、コミュニケーション能力も必要になるでしょう。できるだけ同じ場所に定着し、近隣で働く人、住む人の“日常の癒し”となるお店を目指しましょう。