固定店舗の単純な縮小版ではない
スタートのハードルが低く、ランニングコストもコンパクトなことから、飲食業での独立の入門編としても重宝されるキッチンカーですが、繁盛店へと成長を遂げるためには、結局はオーナーの“経営者能力”が決め手となります。確かに、固定店舗よりもリスクが少ないとの触れ書きもあり、正しいのですが、失敗しないわけではありません。キッチンカーには、キッチンカーならではのリスクがあり、そのための対策が“別モノ”として存在することを認識しておきましょう。
失敗からの失敗、その連鎖はキッチンカーも例外ではない
キッチンカーが稼働するのは、販売できる場所があってこそ。平日のオフィス街やイベントなどの賑わいのある場所はもちろんとして、自分の不動産ではない全ての土地では、管理責任者のGOサインなくしては、オープンすらままなりません。“いずれどこかで”のチャンスはあるでしょうが、待機状況が長くなればなるほど、当初の財務計画からは逸脱していくことになり、お金が回らなくなる展開を早めてしまいます。そして、オープンに至ったところで、「ウケると思った商品がウケない」「お客さんとのコミュニケーションがとれない」など、“アテが外れる”かもしれない足踏みの場面は多々あります。サービス業であり、ビジネスである以上、常に人とお金のトラブルとは隣り合わせなのです。決して、夢と希望を持ってはじめることを否定しているわけではないですが、想定できるリスクへの対策を重ねておくことで、余裕のあるスタートと、長く走れる体力を確保することが大切です。
キッチンカーだからこそ、堅実なスタートを
飲食店での開業を考える際、固定店舗も選択肢にあるとしたら、誰もがキッチンカーでの開業のお手頃さに驚くでしょう。「せっかくならインパクトのあるキッチンカーを」と、大きな投資も視野に入れられるほどの差です。ですが、そこはいったん衝動を抑え、キッチンカーとして、最小限のコストで開業することを考えてみてください。大きな車両は、出店できる場所も限りがあり、維持費も多めにかかります。ローンを組むなら、場所探しの難航が続いたり、お客が増えない状況が続いた場合、無駄な返済に悩まされるでしょうし、「一人でやれると思っていたら体力的にきつい」となったとき、サポート役を雇う費用も確保できない状況になります。キッチンカーでお店を始めるメリットは、全ての費用が抑えられることです。そのメリットを、より拡幅して、万全の備えでチャレンジしてくださいね。