食品加工だけが複雑なわけではない

食品をその場で加工販売するキッチンカーに、食品衛生法に基づく所轄保健所の営業許可が不可欠なのは当然のことですが、「キッチンを搭載しない=食品を加工しない」移動販売車の場合、「手続きをしなくても簡単にオープンできるのか」と聞かれたら、「商品による」と答えるのが正解です。移動販売車で販売できるものには、販売行為そのものに、資格や許認可が必要な商品が“あったりなかったり”するんです。

服や本は、新品と中古で変わる

例えば洋服やバッグを移動販売するケースです。この場合、「新品」を仕入れて販売する分には、許可や資格の必要はありません。しかし、「中古」を仕入れて販売するスタイルの場合は、「古物商」としての申請が必要となり、営業拠点(事務所や自宅など実質本部にあたる場所)を管轄する警察署に届出をしないといけないのですが、実際に許可が下りるまでは1カ月強の時間がかかると言われているので、開店ギリギリ、もしくは間に合わないという展開にならないよう、早め早めに動くことが必要です。この「古物商」としての許可申請が必要となる一連の流れは「古本」を扱う際も同様なのですが、「新刊」の場合は、許可や資格のないかわりに、取次会社との口座開設など業務上の手続きを行っておく必要がありますので、こちらも早めの動きをおススメします。

野菜や花卉の場合もそれぞれ

野菜を“そのまま”販売する場合は、特定の資格は必要ありません。ただ、陳列の際に野菜の名称と生産地(都道府県)を記載することが「食品表示法」で義務付けられています。加えて、野菜を漬物にしたり、果物をジャムにするなど、お店側が“加工”を施して販売する場合は、所轄保健所の営業許可が必要となってきますのでご注意を。それらの加工品については、“仕入れて”販売するスタイルであれば、特定の資格の必要はありません。
お花の販売に関しても、自分が苗から育てたり、寄せ植えしたものであれば、基本的に(特定の資格の)必要はありませんが、農水省で登録されている品種は例外となります。また、市場で仕入れて販売する場合は、各市場での免許が必要となる場合がありますので、仕入れ先を決めていく際、事前に確認をしておくとよいでしょう。