あえて2人目が加わるなら…

コンパクトな車両の中に最小限の調理機材を搭載する、効率に優れたキッチンカーは、“ワンオペ”での営業を可能としていますが、例えば夫婦やビジネスパートナー同士での開業で、2人で現場をまかないたいという場面もあるでしょう。その場合は、同じ作業を2人で行うのではなく、本来一人で効率的に回さないといけない仕事を、きっちり分けて分野ごとに専念し、それぞれのサービスの質を上げるのが、成功への近道と言われています。

一人は接客専門、一人は調理専門で。

昔懐かしい街中華などの食堂や、小さな路地裏の居酒屋を思い浮かべてみてください。明るくて優しい奥さんが“接客”担当としてお客様と積極的にコミュニケーションをとり、奥の厨房で背中を向けて“調理”に専念しながらもときおりフロアの談笑に微笑む料理人気質のご主人…実はこの温かい光景には、“小さなお店”の運営に経営効率をもたらし、人気店へと誘ってくれる“無駄のない分業”の旨みがたっぷりと詰まっているんです。

ツーオペ体制はメリットも倍増?

キッチンカー運営を行う上でまず大変なのは、イベントやオフィス街などの出店現場に向かう前の、厨房キッチンでの仕込みというプロセスです。ここについては、短時間で量をこなさないといけないので、現場とは違って共同で作業を行います。工程の中での細かな作業分担については、それぞれの得手不得手で決めていけばいいことですが、「つくる」という現場を共有することで、ワンオペよりも、かかる手間と時間を半減させられます。小さな食堂や居酒屋をオープン前にふと覗いてみると、夫婦で黙々と仕込みをしている光景が見えますよね。商品の説明や手渡し、お会計など手数も多い「接客」が発生する現場で、はじめて完全分業にすればいいんです。ワンオペならいちいち調理の手を止めないといけないプロセスを任せられる人がいる…それだけでお客様への提供スピードもかなり早まります。“感じのいい”接客担当と“かっこいい”料理担当が、ストレスなく動き続けるリズム感は、ツーオペでしかできない魅せ方です。賑わいが落ち着いた時間帯は、呼び込み担当とSNS発信+事務処理担当に分かれ、利益の上乗せと撤収後の時間的コストの削減を同時に行えるなど、メリットの幅も広がりますよ。