出店日以外の有効活用を

お店の味を外で味わえる「非日常感」が持ち味のキッチンカーですが、こと経営に関しては、出店日の天候によって売り上げが乱高下するというリスクとも隣り合わせです。天候によって客足が左右されるのは固定店舗も同様ですが、食事をする環境自体が激変するキッチンカーと比べれば、ごくわずかな影響です。さらに、初めての出店場所では、天候条件とは別で客足の予測がつきにくいということもあり、オーナーがいったん「流れに任せる」スタンスを取ってしまえば、どんぶり勘定が重なって、早々に自転車操業へと陥ってしまいます。なので、キッチンカーをヒットさせるには、年単位の計算と予測を明確に行える、経営力が不可欠となるのです。

一日の売り上げと、一カ月の売り上げを分ける

一日の「売り上げ」は、単純に商品の「平均価格×客数」で算出します。その場合、近隣での固定営業が軸となる平日と、イベント遠征が増える土日祝日では、環境そのものが異なり、客数の予測も大きく異なってくるので、まずは分けて考えましょう。それぞれの客数を予測し、稼働曜日分を掛け算して合算すれば、一カ月の売り上げ予測が見えてきます。ただ、そこに単純に「12(カ月)」を掛ければ一年の予測が立つのか…といえば違っていて、月ごとの気候条件を鑑みながら、個別に売り上げを計算していきます。雨の多い梅雨時は、単純に来店人数が目減りするでしょうし、季節性の強い商品であれば、同じ晴れた日でも人数の予測は月ごとに大幅に変えないといけません。例え快晴日だとしても、暑すぎたり寒すぎたりすると、客足は遠のきますので。善戦できそうなタイミングと、苦戦しそうなタイミングを自分ごとに置き変え、日ごと、月ごとの売り上げを、綿密に予測しておくことが大事です。

シビアに現実と向き合える事前計画を

売上計画を立てる際、希望的観測も手伝って、調子のよさそうな時期ベースでの計算を行いがちになりますが、「落ち込む時期は落ち込む」と割り切り、冷静に月単位の予測を立てていく必要があります。予測がリアルな数字であればあるほど、月ごとの達成率がシビアになり、個人のモチベーションにも繋がりますし、根拠のある年間計画を立てることで、「いずれ誰かを雇って給料を支払う」というタイミングも見定めやすくなるでしょう。稼働後は、別途作成するワークシートと、事前計画の比較検証を行いながら、「引き締めるときは引き締める」ことも含めた、目標達成の醍醐味を楽しみましょう。