出店日以外の有効活用を

キッチンカーでの独立開業は、固定店舗でのそれと比べれば、スタート資金もランニングコストもかなりの節約が期待できますが、見切り発車でのキッチンカーへの過剰投資は、それなりのリスクが伴います。売り上げが軌道に乗るまでの損失補填であったり、方向転換を余儀なくされた場合の追加資金であったり、イレギュラーで必要となるお金も、念のため確保しておくと、キッチンカーの持ち味である、チャレンジングな取り組みへの余裕も生まれるでしょう。車両や機材の「中古を使う」、評者に頼らずキッチン部分を「手作りする」、ホームページやSNSは「無料サービス」を利用するなど、時間と労力を惜しまなければ、クオリティをそれなりに確保しながらも予算を圧縮できる方法はたくさん見つかりますので、検討のうちに入れてみましょう。

スタイルを確定する前にやっておきたいこと

本格的な開業の日程や内容がまだ確定していない段階であるなら、リスクを抑えた「テスト」期間を設けることで、オープン後に発生する不要なコストを抑えることができます。一度に仕組みを作り上げてオープンしてしまうと、訂正事項や方向転換が必要となっても、後戻りできない状態になってしまうからです。例えば、美味しいと思える試作品ができれば、お試し出品や出店をしてみたらいいですし、ゆくゆくはキッチンカーでの調理パフォーマンスを考えているにしても、とりあえず厨房キッチンで質の良い商品を作って提供するなどといった、段階を踏むやり方もあります。販売スタッフとなる店主やスタッフが、まずはよそのキッチンカーでアルバイトなどを経験し、現場での段取りなどを学んでおくのもいいでしょう。

いま必要かを見極める

無かったとしても開業には特に差支えのない「+α」の設備や備品は、とりあえず後回しで構いません。借り入れなどの一時金も含め、潤沢な開業資金を持っている時期は、あれもこれもと投資しすぎてしまう傾向があります。投資はいいことですが、華々しいデビューを夢見てテンションが上がっている時期なので、結果として無駄になるものも購入してしまいがちになります。「あってもいいな」ぐらいの温度感のものはいったん踏みとどまり、開業後に余裕ができてから、再検討しましょう。